廃屋 1/6
ひと昔、いやふた昔前の屋敷だろうか。
門や生垣はなく露わにされた、母屋と離れの二棟が並ぶ廃屋。
荒れるがままの母屋と対照的に離れにはまだ人の匂いが残っていた。
勝手ながら、右を「母屋」、左を「離れ」としよう。
これは本当に適当に名付けてますので、あしからず。
こっちが母屋。
まず、母屋から探索をはじめてみる。
なんという風通しのよさ。
ここまですっからかんだと、逆に気持ちよい。
柱だけが健気にも建物を支えている。
朽ちかけた畳と間取りだけが在りし日の姿をかすかに想わせる。
押入れ…だったのだろう。